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山崎法律事務所


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弁護士コラム「ナズナ想」
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弁護士コラム「ナズナ想」

ルールに対する信頼

少し時期に外れたお話です。
東日本大震災のとき,行列に並ぶ被災者の姿が外国メディアに驚きを持って映りました。
他方で,フィリピン台風禍では,略奪が起こり,銃撃戦まで起こったそうで,町から逃げてくる人々の姿が映し出されていました。
日本人とフィリピン人との国民性の違いとして説明することもできるでしょう。
では,どうしてそのような国民性の違いが生まれたのでしょうか。
風土の違いもあるでしょう。
温帯に属し,四季のはっきりした風土と,熱帯に属し雨季と乾季に分かれた風土の違いはあるのかもしれません。
ただ,それ以上にルールに対する信頼の強さの違いがあるのではないでしょうか。
日本では,災害が起こっても,秩序が回復し,ルールが実現されます。
きっと,東日本大震災で略奪行為を行えば,警察が捜査を行い逮捕し,検察が起訴を行い,裁判所が裁判を行うことでしょう。
少なくとも,国民にそのような信頼があるのではないでしょうか。
世界には,司法的機能が十分に作用していない国も少なくないと聞きます。
そのような国では,大災害が起これば,略奪が起こりやすくなるのではないでしょうか。

一票の格差

昨年12月に行われた衆議院総選挙における1票の格差について,最高裁大法廷は違憲状態であるとの判断を示しました。
違憲ではなく違憲状態という判断ですので,イエローカードであってもレッドカードではない,とりあえず合憲ということでしょう。
投票価値の平等というのは,民主主義・選挙制度の根幹に関わるものであり,きわめて形式的な判断がなじむ,そこで,1票の格差が1:2になれば違憲である。
私は学生時代にそのように習いました。
果たして,そのように考えて良いのでしょうか。
日本弁護士連合会では,現会長を選出する会長選挙が長期化した反省から,会長選挙の改革を模索しているようです。
現行制度では,日本弁護士連合会の会長にあるためには,連合会の会員(簡単に言えば弁護士)の多数を得れば足りるだけではなく,単位会(例えば熊本県弁護士など各地方にある弁護士会)の一定の割合の支持を得る必要があります。
これは,形式的平等を修正している制度です。
きっと,単純に多数の会員の支持を得るだけで日本弁護士会の会長になることができるのであれば,会長になろうとする人は,東京・大阪という大規模な弁護士会を中心に選挙運動をすれば良くて,中小や小規模の弁護士会を無視しておくことができます。
現行の制度は,いやしくも日本弁護士会の会長たる者は,中小や小規模の弁護士会も無視するべからずという趣旨だと理解しています。
国政選挙において,形式的平等を追求したならば,東京などは多くの国会議員を選出することができる反面地方はあまり国会議員を出すことができないということになりかねません。
数年前,地方の道路について,人がいないところに道路を敷いているという議論が政権与党で行われていました。
きっと,東京の感覚では人がいないということになるのでしょうが,そこに人が住んでいるのであれば道路を通す必要があると思います。
すると,1票の格差が1:2になれば違憲と単純にいえるのか疑問です。

部屋と・・・

飛行機に乗ると,機内サービスとして音楽を聴くことができることがあります。
私はJALを利用することが多いのですが,JALのJALMOOOVEチャンネル10が,Jポップ・メモリーズといって,少し懐かしい歌謡曲を流しています。
今月は,この中に平松愛理さんの「部屋とYシャツと私」があります。
この歌は,女版関白宣言といういわれ方もする歌だったと思います。
ところで,この歌は,「人生の記念日には君は綺麗だと言ってその気でいさせて」という歌詞で終わります。
言葉で表現することは大切なことだと思います。
私は,入籍した日と結婚式を挙げた日が違う日だったのですが,妻の生前には,この2つの日を両方ともお祝いをしていました。
もちろん花も買っていました。
海援隊の贈る言葉という歌に,「求めないで優しさなんて臆病者の言い訳だから」という歌詞がありますが,言わなくても分かってくれるというのは,思い上がりのように思います。
人々の価値観が多様化している今の社会では,言葉で伝えることの重要性は大きくなっています。
夫婦とか,親子という大切な関係にある人には,きちんと言葉にして伝えることが大切だと思います。
それが,離婚とか,非行とか,相続紛争を予防する近道だと思います。

思い出話

私が大学院生の後半,熊本県北部の温泉ホテルで夜間常駐警備のアルバイトをしていました。
その業務の内容は,夜間に3回ホテル内を巡回することと,フロント業務でしたので,宿泊しているお客様とお話をすることもありました。
その頃は,バブルが崩壊しかけていた頃でしたが,職場の慰安旅行のお客様も少なくありませんでした。
そのような慰安旅行にこられていた団体の中には,食品卸の商社の方もいらっしゃいました。
その頃は,食材にこだわったグルメ漫画も人気が出始めた頃でした。
そこで,私は,何の気になしに,ロビーで休憩をされていた食品卸の商社の方に,そのグルメ漫画の話題を振ってみました。
すると,その方は,不機嫌そうに,そのグルメ雑誌が取り上げているような食材をそろえるのが大変であることを話されていました。
しかも,値段をかけないでそろえることは。
その頃から一般の消費者にも食材に対するこだわりが生まれたのかもしれません。
食品の偽装表示,不正表示のニュースに触れて,ふと思い出します。



専門家だって

インターネットでの掲示板で,時として「専門家」というアイコンがついた方の回答が載ることがあります。
ただ,そもそもその掲示板に書き込まれている質問についての専門家といえるかという点で疑問があることもあります。
私は,弁護士ですので,専門家といわれるカテゴリーに入ることは多いです。
しかし,例えば,何らかの病気の治療について,私が回答を書き込んでも,それは「専門家」の回答ではありません。
病気の治療の専門家といえば,医師です。弁護士ではありません。
法律問題,例えば離婚やそれに付随するお金の問題,財産分与,婚姻費用分担,養育費について,弁護士でない法律関係の資格を㈲している方が「専門家」として回答していらっしゃることもあります。
ただ,家庭裁判所において,離婚や相続などの家事事件で代理人として関わることができるのは,弁護士のみです。
裁判官の意見が「専門家」の意見とは逆だった経験もあります。



信長と信玄

戦国時代は大河ドラマで取り上げたとき,視聴率を稼げる時代だそうです。
戦国時代は,英雄がきら星のごとく登場した時代ですが,その中でも織田信長と武田信玄は代表格でしょう。
両雄とも,戦上手で知られています。
しかし,織田信長と武田信玄の戦の仕方は本質的なところで違っていると言われています。
武田信玄の軍勢は,戦国最強と言われていました。
しかし,武田信玄は,織田信長のように上洛することができませんでした。
その1つの原因に,戦略の違いがあると言われています。
武田信玄は戦術的に優れた武将ですが,戦略的には織田信長には及ばなかったといえます。
戦術というのは,局所戦,個々の戦で勝てるための方策をいいます。
これに対して,戦略というのは,最終的にどのように戦を終わらせるかの方策をいいます。
武田信玄は,個々の戦は強かったですが,最終的にどのように戦を終わらせるかの方策を持っていませんでした。
これは,川中島の戦を数度となく繰り返したことからいわれていることです。
天下取りを考えるのであれば,無駄に川中島での戦を繰り返すのではなく,早々に上杉謙信と和睦して,上洛するべきでした。
裁判や調停でも似たようなことがいえます。
離婚や相続のような案件は感情が入り込みやすく,意地になりがちです。
少しでも相手の利益になることは避けたいと考えがちです。
しかし,裁判や調停を行って,どのようにしたいのでしょう。
この「どのようにしたい」,すなわち,どうすればご自身に有利な結果を導くことができるかということ。
それが戦略です。
個々の期日での主張や要求にどう応じるかは戦術でしかありません。
そこで,頑張りすぎてもメリットがないことが少なくありません。


評価

交通事故の被害に遭われた依頼者の方から,どこの医療機関が良いかを尋ねられることがあります。
交通事故の損害賠償請求裁判をしていると,お医者さんの診断書を目にする機会が多くなりっます。
特に,外傷性頸椎捻挫,外傷性頸椎症候群,いわゆるむち打ちの被害を受けた依頼者が多く,整形外科のお医者さんが書いたの診断書を多く目にするようになります。
別々の依頼者が同一の医師がそれぞれの方に作成した診断書をお持ちになることがあります。
直接お話をお伺いするお医者さんもいます。
すると,お医者さんの善し悪しの雰囲気も少しですが,お話しできることもあります。
私が先日適切と思うお医者さんをお教えした依頼者の方が,お喜びの声を寄せてくれました。
どこのお医者さんが良いというお話はしやすいです。
逆にどこのお医者さんが悪いというお話は差し控えています。
どこのお医者さんが悪いというお話は,名誉を毀損したとか,営業を妨害したと言われかねません。
それに,相性という者もいます。
同一のお医者さんに治療をしてもらった別々の依頼者の方で,一方の依頼者の方からの評価は高いのですが,他方の依頼者からの評価は低いということもありました。
評価をすると言うことは難しいことです。

待合室

家庭裁判所には2つの待合室があります。
申立人用の待合室と相手方用の待合室です。
離婚にしろ相続にしろ,調停では,待ち時間が割と長いです。
調停は,交互に調停室に入って話をしますので,他方が入っているときには待ち時間になります。
しかも,これが1回出ないことが多いですし,調停委員と裁判官が評議している時間も待ち時間になります。
私は,調停は片昼間と考えていますが,簡単に言うと,その半分は待ち時間です。
依頼者と一緒に調停に行っているときには,雑談タイムになります。
いろいろなお話をします。
もちろん,依頼を受けている案件についてのお話が最も多いです。
その調停の見通しであるとか,相手さんの対応に対する評価などです。
全くの雑談もあります。
依頼者がお母さんのときに多いですが,お子さんが私の娘と年齢が近いときなどは,育児話に花を咲かせます。
私の娘の方が依頼者のお子さんよりも年上のときなどは,育児の先輩風をビュービュー吹かせたりします。

たまにはですけど

裁判手続きには和解という手続があります。
和解というのは,仲直りという意味ではありません。
当事者双方が譲歩し合って,合意を作り,裁判を終わらせる手続です。
譲歩するわけですから,交通事故の損害賠償請求裁判のような金銭を請求する裁判では,判決で見込まれる金額より下げるわけです。
例に挙げました交通事故の損害賠償請求裁判では,判決になれば弁護士費用,遅延損害金をつけてもらえるわけですから,金額だけで見ると,和解によるメリットはあまりないといえます。
しかし,判決の見通しが不透明であるときには,和解のメリットもあながち小さいとは言い切れないときもあります。
また,経済的メリット以外のメリットを依頼者の方が感じているときもあります。
私は,依頼者の方に,和解を成立させるかどうかを決めていただいています。
和解によるメリット・デメリットは説明しますが,和解をしたくないと言われている依頼者を説得することはしないようにしています。
それが私の基本的なスタンスです。
そういえば,先日成立した和解では,依頼者の方からこのようなことを言われました。

(私が)期日の前には○○さんが決めれば良いですよと言っていたのに,その場になると一生懸命に説得するので,これは断ってはいけないと思いました。

と。
このときの和解は,依頼者にとって,少なくとも経済的メリットという点では,とてもメリットの大きい内容でした。
そして,このときの和解が成立しなければ,その内容と同程度の経済的利益を得ることがとても難しいと思われるものでした。
すると,一生懸命に説得してしまいました。
依頼者の利益ですので,依頼者ご自身が和解を成立させるかどうかをお決めになれば良いことと思っています。
ただ,私が一生懸命に説得することも,たまにはございます。

そういうこともあった

娘の小学校入学後初めての運動会がありました。
小雨決行でしたが,本格的な雨になって全学年の一通り競技が終わったところで,打ち切りになりました。
1年生にとっては小学校初めての運動会,6年生にとっては小学校最後の運動会でした。
ただ,見方によっては,順調に終わった運動会に比べると思い出にも残るでしょうし,話のネタにもなることでしょう。
社会生活の上で様々な法律問題に遭遇します。
離婚や交通事故などです。
それが,何年か後になって,「あのときは大変だったね。」と話題にできる。
きっとそのようにいえるときには,その話題を出すとき,その法律問題に遭遇したときよりも,ほんの少しだけかもしれませんが,幸せになっているのでしょう。
私たち弁護士は,法律問題の解決を通じてしかお手伝いをすることができませんが,そうなっていただきたいと願わずにはいられません。


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