熊本の弁護士|交通事故,離婚の山崎法律事務所

契約

まだ契約書を作っていないから安心???

私は、破産の申立の依頼を受けますが、裁判所から破産者の管財人に選任されることもあります。
破産者の業務として、破産者の所有していた不動産の売却があります。
かつて管財人として処分した不動産で、3、000万円で売却できたものがあります。
固定資産評価額は2、500万円くらいで、土地鑑定士の評価は3、200万円くらいでした。
その不動産は、競売手続も進行していました。
買い手から3、000万円で買うとの申し出があり、私は、3、000万円で売ることでこの方と同意しました。
ところが、競売の最低売却価格(現在ではこの言葉は使いません。)が、1、400万円くらいでした。
すると、この方は、3、000万円で買うのは嫌だと言い出しました。
「まだ契約書を作っていない。」
これがこの方のよりどころでした。
この方は、契約書を作っていなければ契約は成立していないと考えていたようです。
結局、この方に、3、000万円で買ってもらいました。
綱渡りのような交渉でした。
ところで、契約書を作っていなければ契約が成立していないのか?
この方のように、契約書を作らなければ契約が成立していないと考えている方は少なくないように感じます。
実は、契約について定めている法律である民法では、契約の成立に契約書の作成は要求されていないのです。
民法の原則に従えば、当事者の合意があれば、契約書を作らなくても、契約は成立します。
たとえば、電話でのやりとりだけでも、契約は成立します。
それが、不動産のような大きな財産の売買であってもです。
では、何のために契約書を作るのか。
まず、当事者間で、どのような内容の契約を結んだかを確認する必要があります。
そのために書面にしておけば、契約の内容がわかりやすいですし、後日に確認することもできます。
さらに、証拠としての役割があります。
後日、契約を結んだこと自体が争いとなることは珍しいことではありません。
そのとき、第三者である裁判所に、契約を結んだことを説明し、納得してもらわなければ成りません。
このとき、裁判所は、証拠がある方の説明を納得します。
時たま、ご自身が正義であれば、何もしなくても裁判所が勝手に勝たせてくれるように思っていると感じられる方もいます。
正義というものは裁判で勝つために役に立つというものではありません。
なぜなら、当事者は、双方が、自らが正義と考えているからです。
裁判で勝つためには、証拠をそろえることが必要です。
また、これこれの事実については何か証拠となるようなものはありますかと尋ねると、これこれの事実は相手が認めていますからといわれる方もいるようです。
もし、裁判前に事実を認めていた相手方が、裁判でも事実を認めるのであれば、裁判は今よりも苦労が少なくなり、もっと早く終わるでしょう。
現実には、そんなことはあり得ないと考えた方がよいです。
双方の当事者が出頭している裁判で、裁判所の廊下で、「なぜあんな嘘を言うの。」との当事者同士のやりとりを耳にすることもあります。
結局証拠をそろえていない方が負けてしまうのです。
なぜ、契約書を作るのか。
裁判になったとき、このような契約がありましたと証明するために作るのです。
契約書がなくても、契約の存在がほかの証拠で証明できれば、契約が存在したとの言い分は、裁判所に認めてもらえることでしょう。
まだ契約書を作っていないから安心とはいえないのです。
もちろん、まだ判子を押していなければ安心ともいえないのです。
判子を押していなくても、自身が書いた署名が契約書にあれば、契約書に記載された内容に合意したと裁判所が認定する可能性が高くなります。
軽々しく、承諾したり、書面に名前を書いたりしないことです。
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