借金問題
払えと言われたらどうしましょう?
多重債務の相談で聞かれることが多い質問に、「借りたお金を払えと言われたらどうしましょうか?」というものがあります。
相談に来られている方は、自転車操業のようにこちらの貸金業者から借りてはあちらの貸金業者に返すというような返済を続けてこられた方がほとんどです。
そして、このように無理矢理回していたお金が回らなくなって、相談に来られた方です。
ですので、貸金業者からお金を請求されても返せるわけがないのです。
もちろん、貸金業者から請求されたときに弁護士に依頼していれば、例えば私に依頼していたとすれば、「弁護士の山崎に依頼している。この電話番号に電話してきいてくれ。」と言ってもらえればすみます。
しかし、まだ相談の段階で、弁護士に依頼するかどうか、依頼するとしてどの手続を利用するかをまだ決めてなく、従って弁護士が依頼を受けることができる状態になっていない場合も少なくありません。
そのような場合、相談される方から、「払えと言われたらどうしましょう?」と質問されるのです。
答えはきわめて単純です。
「申し訳ありません。お金がないので払えません。」と答えることです。
そうお答えすると、多くの方が、「お金を払わなくてもいいんですか?」と質問します。
借りたお金を返さなければならないというのは、民法の原則です。
払わなくてもかまわないというわけではありません。
しかし、返すべきお金がなければ、払いようがないというのが現実です。
それを、何とかして支払を続けようとして、他の貸金業者から借入れをした結果が多重債務の状態です。
どこかで、「お金がないので払えません。ごめんなさい。」と言うことができていれば、多重債務に陥ることもなかったかもしれません。
もちろん、貸したお金が回収できなければ、貸金業者は裁判を起こすかもしれません。
では、裁判で負けて何か不都合なことがあるのでしょうか。
例えば、自宅などの不動産をお持ちであれば自宅などの不動産を差し押さえられて競売されるかもしれません。
勤め先を業者が知っていれば給与の差押えを受けるかもしれません。
不動産をお持ちでなく、勤務先を変えたなどで業者が勤務先を知らない場合、裁判に負けても何も不都合なことはありません。
このように、貸金業者が、判決や支払い命令に基づいて強制執行をすることができる財産がない人の場合、その借りている人の意思でお金を払わない限り、貸したお金は回収できない、すなわち借りた人間が強いのが現実です。
他方、やってはいけないのは、できない約束をすることです。
例えば、「月末に支払う。」とか言えば、業者は月末に支払ってもらえると期待してしまいます。
「月末に支払う。」と言うことで、その場は何とか収まるでしょうが、月末に支払えないときには、期待を裏切られた業者の対応は、より厳しいものとなります。
結局は、誠実にごめんなさいといえることが大切と言うことです。