熊本の弁護士|交通事故,離婚の山崎法律事務所

刑事事件

被害弁償

ずいぶん以前のお話ですが、友人の弁護士といった夜のお店で、席に着いたホステスさんから、弁護士から被害弁償としてお金を払うという話がきているのだけどどうしようという話をされ、2人とも口をそろえて、そのお金を受け取った方がよいと答えたことを覚えています。 もちろん、その弁護士は何の目的もなくてお金を払うわけではありませんし、そのお金もその弁護士のポケットマネーではありません。 依頼者である被告人や少年又はその家族よりゆだねられたお金です。 なぜ、そのようなお金を用意するか。 当然、処分を軽くするためです。 被害者としては、そのことがわかるから受け取りたくない。 それは理解できるところです。 では、全く被害の弁償をしてもらおうと思わないかというと、これがちがうようです。 刑が確定したら被害弁償を受け取りますといわれる被害者の方がいます。 私も、判決(刑事事件の場合)や審判(少年事件の場合)が確定した後に、依頼を受けて、被害弁償をしたことがあります。 ですので、処分が確定しても被害弁償がなされる場合はあります。 しかし、判決や審判の前に被害弁償を被告人や少年が申し出るのは、処分を軽くしたいという動機があるからですので、判決や審判で処分が確定し、しかもその処分が実刑や少年院送致である場合、それでも被害弁償を申し出たいとは、通常は思わないでしょう。 しかも、いったん申し出た被害弁償を断られ、そのために処分が軽くならなかった元被告人・元少年が、それでも被害弁償をしたいとはなかなか考えません。 だから、被害弁償の申し出があれば、お金を受け取る方がよいと思います。 被害者の対応としては、被害弁償を受領することから、示談する、宥恕するまで段階があります。 宥恕するというのは、寛大な心で罪を許すという意味です。 この順序で、処分に与える影響が大きくなると考えられます。 許したくなければ、示談したり、宥恕したりしなければよいのです。 ただ、このような話を聞いたことがあります。 ある弁護士が被害弁償を申し出たのですが、被害者側がこの申し出を拒否しました。 そのため、被害弁償がなされないまま、処分についての裁判所の判断がなされました。 それから数ヶ月して、被害者側から、この弁護士に、被害弁償をどうするのかというお怒りの電話がかかったそうです。 弁護人(少年事件であれば付添人)は、永遠にその事件に関われるわけではありません。 弁護士が、弁護人・付添人として活動できるのは、刑事事件であれば判決が確定したり、控訴・上告・上告受理申立がなされるまで、少年事件であれば審判が確定したり、抗告がなされるまでです。 それ以降は、弁護は、弁護人・付添人として活動する根拠を失います。 その頃になって、被害弁償について被害者側からお怒りの電話をいただいても、その弁護士は何もできません。 また、判決や審判前には被告人・少年のためにお金を出そうといっていた家族も、その頃にはお金を出そうとは言わないでしょう。 そうなったときには、被害者が、ご自分で別の弁護士に依頼するなどして、元被告人・元少年に対して損害賠償請求の裁判を起こして、その判決をもらって、元被告人・元少年の財産に対して、強制執行をして、被害の回復を行わなければならなくなります。 この方法で被害が回復できる被害者の方はまれです。 だから、被害者を保護する制度が必要なのですが、残念ながら現実の制度は被害者感情のガス抜きのような制度でしかないように思います。 話はそれましたが、このような現状を考えると、たとえ被告人・少年の処罰が軽くなる可能性があったとしても、被害弁償を受け取った方が、被害者にとっても利益になると思います。
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