雑談
裁判所に出せる証拠
一昨日(平成21年9月11日)午後9時から放送されたTKU(フジテレビ系)の番組で、「金曜プレステージ『屋台弁護士III~燃える屋台!村雨父子絶体絶命!~』」というドラマがありました。
そのドラマの中で、中村雅俊さん演じる弁護士村雨一郎が、羽田美智子さん演じる弁護士風間英里子から、村雨弁護士がICレコーダーに録音した会話について、証拠として裁判所に出せないと言われ、「わかっている。」と答えているシーンがありました。
裁判所に出せる証拠かどうかは、民事裁判と刑事裁判とに分けて説明する必要があると思います。
刑事裁判では、出せる証拠というものに制限があります。
このドラマでは、収賄の疑いをかけられている国会議員が登場しますが、この国会議員のアリバイの工作ために、村雨弁護士のラーメンが利用されたのですが、村雨弁護士は、この国会議員に対して、塩ラーメンを食べたのか、湯麺を食べたのか尋得たところ、塩ラーメンを食べたと答えたのであるが、実は村雨弁護士の屋台では塩ラーメンも湯麺も出していなかったというものです。
ここで、この国会議員が村雨弁護士の屋台に行っていないと言うことを証明するために、この国会議員が塩ラーメンをためたと言ったという録音を証拠にすることは、刑事訴訟法320条によりできないと考えられます。
この刑事訴訟法320条は、ある人がこういっていましたと言うことを別の人の証言や別の人が作成した書面(典型的なのが警察などが作る供述調書)を原則として証拠としてはならないと定めています。
これを伝聞法則といいます。
ただ、この国会議員が、村雨弁護士の屋台でラーメンを食べたと言ったという事実を証明するためには、実は、この録音を使うことができる可能性があります。
最近、取調状況を撮影したDVDが証拠として取り調べられることが見られますが、これは同じ理屈になります。
つまり、供述で話した内容が真実かどうかは別として、そのように供述した事実があることを証明するために使われる使われ方です。
このような使い方であれば、村雨弁護士がICレコーダーで録音した内容を証拠として裁判所に出せるかもしれません。
これに対して、民事裁判では、出せる証拠に制限がありません。
ですので、ICレコーダーで録音した内容は証拠として裁判所に出すことができます。
別に、相手方に録音しますよと告げる必要もありません。
ただ、ICレコーダーのまま裁判所に出すわけにも行きませんし、相手方に副本といって写しを渡さなければならないので、CDかカセットテープにダビングしたものを裁判所用と相手方用に作成し、さらに、反訳書と言って、録音されている内容を文字にした書面をつけて提出する必要があります。
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