熊本の弁護士|交通事故,離婚の山崎法律事務所

刑事事件

ACCOUNTABILITY

天草で父親を殺害した事件がありました。
私は、この事件の熊本地裁での第1審の国選弁護を担当しました。(「少し疲れましたが、少し回復しました。」)
この裁判では、被告人・弁護人は、被害者である父親がチェーンソーを振り回したことが原因であり、これに対する防衛行為であるので正当防衛であると無罪を主張しましたが、全く採用されることなく、懲役12年の有罪判決でした。
この裁判の福岡高裁での控訴審の判決があったそうです。
国選弁護の事件ですので、控訴審は福岡の弁護士が国選弁護人としてつくことが一般的です。
結論的には、有罪判決だったそうです。
しかし、被害者である父親がチェーンソーを振り回したことを認めて懲役10年としたそうです。
第1審の熊本地裁の判決で、被害者である父親がチェーンソーを振り回したという点について、弁護人は、最終弁論で、チェーンソーが切り株にぴったりくっついた状態で発見されていること、このチェーンソーがスイッチがオンの状態なのに止まっていること、燃料油が漏れていることなどをして、この状況は、被害者である父親が振り回し、それにより切り株にチェーンソーをぶつけて衝撃を与えたことを裏付けていると主張しました。
これに対する判決の判断は、「他の原因が考えられる。」でした。
「他の原因」って何?には答えてくれていませんでした。
この程度の判決なら私でも書けるんじゃないのかなというような判決でした。
「ACCOUNTABILITY」とは説明責任という意味です。
福岡に蓑田孝行といわれる弁護士がいます。
福岡地方裁判所の所長でした。
その前は福岡高等裁判所の部総括裁判官で、その前は熊本地方裁判所の所長でした。
この蓑田孝行氏が熊本地方裁判所の所長のときに私は熊本地方裁判所で実務修習をしました。
その際の話の中で、蓑田所長は、度々「ACCOUNTABILITY」という言葉を使いました。
判決においても、「ACCOUNTABILITY」が重要であるということいわれていました。
今は、被害者感情の満足が重要視され受け以降にありますが、刑事裁判における判決の最も重要な役割は、現実に判決により場合によっては生命すらも奪われる被告人に対するACCOUNTABILITYではないでしょうか。
「他の原因が考えられる。」は、検察官が有罪の証明を尽くしていないときには使えるかもしれません。
刑事訴訟法において、有罪の証明責任は検察官が負うのですから。
それに対し、無罪に証明責任を負っていない被告人・弁護人は、「このような場合もあるかもしれない。」という程度に証明すればたりるのです。
被告人・弁護人が、「『このような場合』もあるかもしれない。」と証明すると、検察官が「『このような場合』はあり得ない。」と証明しなければなりません。
これに対し、裁判所が、検察官の証明が成功していると考えるのであれば、「『このような場合』があり得ない。」ことを判決の中で説明してくれればよいのです。
「他の原因」として、何も思いつかないのに、被告人・弁護人が主張する被害者である父親がチェーンソーを振り回したことはあり得ないとはあまりにもACCOUNTABILITYを尽くしていなかった判決だと思います。

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