少年事件
Before・After
依頼に来たときと、委任された事務が終わった後で、雰囲気が変わっている方というのはいらっしゃいます。
債務整理で来られる方などその傾向があります。
相談に来られたときは今にも今にもおれそうな雰囲気なのですが、任意整理であったり、自己破産であったりで、借金問題が解決した後というのは、見違えるくらい雰囲気が明るくなっていたりします。
少年事件での少年の親御さんにも似たようなところがあります。
私は、法テラスの法律援助事業を利用して付添人(援助付添人)になることが多いです。
国選弁護人もそうですが、援助付添人も、裁判(少年事件の場合には「審判」と言います。)が終わった後に会うことは少ないです。
ご自分で費用を負担していないことの引け目か、弁護士のところに行くと何か費用を請求されると思っているのか、はたまた私が忙しいのだろうとお気を使われているのかはわかりませんが、全く音信がない方が大部分です。
そのような中でも、国選弁護事件や援助付添い事件が終わった後に、ご本人が顔を見せてくれたり、ご本人が顔を見せられなくてもご家族が顔を見せに来てくれることがあります。
そういうときは、少し報われる気持ちがします。
さて、少年事件でお会いする親御さんには、追い詰められているような、思い詰めているような感じを受ける方が少なくありません。
非行は、その非行を犯した少年自身にのみ原因があるとは言えないことが多いと思います。
法務省法務総合研究所が編纂する犯罪白書で少年非行の特集があったとき、「少年非行は大人社会を映す鑑である。」との下りがありました。
少年は、環境の影響を強く受けます。
少年にもっとも強い影響を与える環境は、家庭であり、学校です。
その意味で、少年事件で私は、親御さんにはあまり優しくないと思います。
それも、少年審判までは、親御さんが思い詰めたような感じを受ける原因かもしれません。
しかし、審判が終わり、事務所に顔を見せに来てくださる少数派の親御さんの表情を見ると、憑き物が落ちたような、見違えるほどの明るい表情を見せてもらえます。
やはり、子どもが非行を犯して逮捕され、少年鑑別所に収容されるという経験をすると、あまり気持ちの平静を保つことができるものではありません。
親御さんにも大きなストレスを与えていたことがよくわかります。
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