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刑事事件

第1回公判前の保釈許可

今日、薬物の自己使用罪の被告人について、第1回公判前でしたが、保釈が許可されました。
裁判所と言うところは、検察官の言うことはよく聞いてくれますが、弁護人の言うことはほとんど聞いてくれないところという印象がありましたが、今日は、検察官は保釈不相当の意見でしたが、弁護人の言い分を聞いてくれました。
裁判員裁判導入に伴う裁判所の変化の流れであってくれれば嬉しいです。
ところで、刑事訴訟法89条は、保釈の請求があったときは許可しなければならないと規定しています。
実際の保釈制度の運用を見れば信じられないかもしれませんが、保釈請求があったときには保釈を許可することが原則なのです。
そして、例外として、
① 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
② 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
③ 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
④ 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑤ 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑥ 被告人の氏名又は住居が分からないとき。

保釈を許可しないでも良いと規定しています。
そして、薬物の自己使用罪の保釈請求で、検察官は、不相当との意見をつける理由として③(被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき)と④(被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき)を挙げるのが一般的です。
ところで、薬物の自己使用罪というのは、尿の鑑定結果が有罪を認定する唯一の証拠と言っても過言ではありません。この尿の鑑定結果は検察官が持っているので、被告人が保釈されても、証拠を隠滅することはできません。
そして、薬物の自己使用罪の場合、それが初犯であれば、執行猶予付き判決となる可能性が相当程度高いといえます。ですので、被告人に不利な情状に関する証拠を隠したり、有利な情状に関する証拠をねつ造する必要が低いと言えます。
ですので、④を理由として保釈を許可しないということは言えないと思います。
また、薬物の自己使用罪については、それが初めての使用で逮捕されるということは滅多にないのですから、薬物の自己使用罪は考えようによってはすべて常習として薬物の自己使用をしていたということも言えなくもありません。そして、常習性は被告人が取調に応じて話した内容などから判断するのですから、素直にこれまでの使用状況を話せば、常習として薬物を使用していたとして保釈が認められないけど、最初の自己使用だと言い張れば保釈が認められるという奇妙な結果になってしまいます。
また、原則として保釈を認めなければならないと法律は定めていますので、例外である「常習として」をそこまで広く解釈してもよいのかという疑問もあります。
従って、③を理由として保釈を許可しないということも言えないはずです。
このように考えると、初犯の薬物の自己使用罪については、理屈としては保釈を認める方向で考えるべきです。
ただ、これまで裁判所は、第1回公判前の保釈を許可することが希であったため、今回も難しいだろうとは思っていました。
保釈が許可されてよかった。

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