熊本の弁護士|交通事故,離婚の山崎法律事務所

刑事事件

別件逮捕

別件逮捕というのは、本命の事件(例えば殺人事件、これを「本件」といいます。)の捜査をしている警察が、本件の事件で逮捕することができないときに、本件でない事件である死体遺棄事件など(これを「別件」といいます。)で、逮捕することをいいます。
死体遺棄事件で逮捕されると、かなり高い確率で、次に殺人事件での逮捕がされます。
ところで、別件逮捕は、直ちに違法とならないというのが裁判所の立場です。
それでも、逮捕された後の取調状況などから、刑事訴訟法が定めている、逮捕については裁判官が交付する令状が必要で(令状主義)、逮捕されて48時間以内に検察官に送致がなされ、それから24時間以内に勾留手続きがとられ、さらに、最大20日間の勾留後に起訴しなければならず、このいずれかにそれぞれ次に手続に進まなければ釈放しなければならないという時間制限を逃れるためになされたものであると評価されると、その逮捕は違法になると考えられています。
この別件逮捕については、オウム事件の捜査で多用され、これに対するマスコミの報道も寛容であったために、別件逮捕は別に問題がないんだろうという風潮があるように思われていました。
ところが、@niftyニュースに「4度目、5度目は当たり前「別件逮捕」乱発のナゼ」というタイトルで、「「かつては『別件逮捕=違法捜査』という世論が強かったが、オウム事件や和歌山カレー事件の頃から寛容になりました。そんな世論に警察が甘えている部分もあると思います」(警察出身でジャーナリストの黒木昭雄氏)やはり4度目、5度目の逮捕は当たり前なんて、どこかおかしい。
(日刊ゲンダイ2010年1月7日掲載)」という記事が載りました。
とても健全な人権感覚だと思います。
マスコミは、権力に対するチェック機能を果たすべき存在だと思いますが、少なくとも事件報道を見ていると、警察・検察の提灯持ちでもしているような報道が軒並みで、とても警察・検察権力と対峙し、その誤りを指摘して、是正していこうという気概の欠片も感じられない現状です。
そのような提灯持ちのマスコミの中で、このように原則論から権力に対峙した論調をはれるのは素晴らしいことだと思います。
このようなマスコミの姿勢の中で行われる裁判員裁判に不安を感じないこともないのですが、この話は長くなるので、また別の機会にすることにします。
この別件逮捕について考える際にも必要なことは、それぞれの立場を想像できることだと思います。
被害者の立場に立てば、真犯人を逮捕してもらいたいと思うのは当然で、そのために多くのエネルギーをつぎ込んだ操作をしてもらいたいと願うことでしょう。
この立場は、割と簡単に想像できるようです。
では逮捕される方の立場はどうでしょう。
自分が逮捕されるだけでなく、家族などが逮捕されることもないことはありません。
逮捕されると、20日間という時間がほとんどフリーハンドで警察・検察に与えられ、社会から切り離されます。
例えば、職場を20日間休むことを考えると、これがどれだけ大変なことかがわかる方は多いと思います。
別件逮捕は、この20日間という期間が、2倍にも3倍にもなります。
外の社会のこと、職場のこと、家族のことを心配する人であれば、この期間の身柄拘束は拷問にも等しいことです。
このような状況では、やっていないことでも認めてしまう虚偽自白が出てきても不思議ではありません。


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