熊本の弁護士|交通事故,離婚の山崎法律事務所

刑事事件

他山の石

中国で6日に日本人の死刑が執行されました。
覚醒剤密輸罪でした。
日本では決して死刑にはならない犯罪です。
中国では、汚職の罪でも死刑になるそうです。
国際人権団体アムネスティーインターナショナルの発表によると、中国での死刑執行は、平成20年度で少なくとも470人、平成21年度で少なくとも1718人と推定されるそうです。
中国政府は、今回の死刑執行で、「中国は悪質な薬物犯罪には、死刑を適用することが予防につながると認識している。」とのコメントを発表しています。
中国政府によると、死刑があるから、薬物の密輸や汚職という犯罪が抑止されているということです。
だから、薬物の密輸や汚職について死刑が適用されない日本では、これらの犯罪がなくならないんですね。
でも、日本では、中国に比べて、薬物の密輸や汚職が多かったのでしょうか?
実は、ある刑罰が、ある犯罪について、抑止効果があるかについて、実証的な研究が行われたことはありません。
アメリカ合衆国にセリンという犯罪学者がいました。
彼が、アメリカ合衆国の死刑存置州と廃止州を対象にして、「他の事情が同じならば、殺人罪の頻度は死刑廃止州のほうが高率である」とか、 「殺人罪は、死刑を廃止すれば増加し、復活すれば減少する」などの仮説をたて、各種のデータを分析してこれらに当てはめてみたが、その仮説は論証されなかったとされています。
そもそも、ある社会においてどの犯罪がどれほど発生するかは、その社会がおかれている経済的・政治的状況はもちろん歴史的・文化的・地理的状況や国民性などにより影響を受けると考えられています。
1つの国家において、ある刑罰がある2つの時代をとっても、これらの状況がすべて一致することはあり得ませんし、同じ時代の2つの国家を比べるとき、これらの状況がすべて一致することはあり得ません。
自然科学の実験のように、他の条件をすべて同じにして行う対照実験のような検証は、犯罪学のような社会科学では行うことができません。
結局、ある刑罰によりある犯罪が抑止されるという考えは、科学的根拠がありませんので、信仰に過ぎません。
中国が死刑を執行するのは、死刑により薬物密輸が抑止されるという信仰によるといえます。


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