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雑談

即身仏

7月30日に、東京都足立区で111歳の男性が、ミイラ化した遺体で「発見」され、しかも、その「死亡」が30年も前であった可能性があること、しかも、100歳以上の高齢者の生存不明が、この件だけでなさそうと言うことで、厚生労働省が、実態調査に乗り出したそうです。
先日放送された、読売テレビ制作の番組「たかじんのそこまで言って委員会」で、副委員長の辛坊治郎氏が将来の日本には200歳の高齢者がごろごろいるようになるが、それは死亡しても死亡届をしない結果であるとの発言をしていましたが、こんなに早く問題が顕在化するとはという思いです。
件の足立区の男性は、即身仏となりたいと、言われていたそうです。
即身仏というのは、生きたまま仏様になることらしいです。
真言宗の開祖弘法大師空海が、即身仏となり、高野山金剛峯寺で今も「生きている」と信仰されていると聞いたことがあります。
すると、弘法大師空海は、齢1、236歳のはずです。
ところで、弘法大師空海が生きているとされることと、件の男性をはじめとする生死不明の高齢者が生きているとされることは少し事情が違います。
単に記念品代を云々の問題ではありません。
弘法大師空海が年金を受給しているという話を聞いたことはありませんが、件の男性は年金受給していたと思います。
その他の生死不明の高齢者にも年金が支給されているはずです。
年金は、生存していなければ受給できない利益です。
受給しているときに既に死亡していれば、受給した年金は不当利得になります。
しかし、不当利得は、過払金請求訴訟をご自分で提起する方もいらっしゃるようですのでご存知の方も少なくないかもしれませんが、10年前までしか取り返すことができません。
件の男性は、30年前に死亡していたそうで、30年間支給され続けた年金が不当利得になりますが、20年分の年金は取り返せないことになります。
また、犯罪にもなる可能性もあります。
すなわち、年金を受給している場合、その受給資格者が死亡した場合、その相続人が死亡届をする義務を考えることができるとすれば、この義務を果たさずに年金の支給を継続させて、その年金相当額を得たとすれば、「人を欺いて財物を交付させた」(刑法246条1項)と評価できると考えます。
ちなみに、買い物でもらったお釣りが多いとき、これを通知する義務があり、黙って余分にもらったお釣りを持ち帰る行為は詐欺行為に当たると考えられています。
弘法大師空海のように、年金などの世俗的利益を受けていなければ、即身仏として1、200年以上生き続けても法律がとやかく言う筋合いではありませんが、年金を受給して世俗と関係を持ち続けていると、即身仏になろうとしても、法律がとやかく言わざるを得ないと思います。

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