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刑事事件

試金石

試金石というのは、 金など貴金属の鑑定に用いられる黒色の硬い石で、この石の表面に金をこすりつけて、その条痕色(じょうこんしょく)を標準品のものと比較して純度を判定するそうで、転じて物の価値や人の力量などを計る基準となる物事を指す言葉として使われています。
昨日判決があった押尾学さんについて保護責任者遺棄致死罪の裁判員裁判は、その試金石といえました。

私が大学のときの刑事訴訟法の教官が陪審裁判の推進者でしたので、答案の結論に「陪審裁判を導入するべきである。」と書けば「優」がもらえるとの噂がありました。
私は、その科目で「現在の逮捕された時点で犯人扱いをする犯罪報道がなされ、市民の人権意識が成熟していない我が国で陪審裁判を導入することには慎重であるべき。」との答案を書いたように記憶しています。

ある人が逮捕されると、ますこみが原則実名で報道されることがあります。
今は容疑者とつきますが、昔は呼び捨てでした。
容疑者が付いたとしても、有罪判決が出るまで無罪が推定されているような雰囲気は報道にはありません。
その逮捕された人が有名人であれば、その報道はセンセーショナルになります。
中には、逮捕される前であるにもかかわらず犯人扱いで報道される人もいます。
事実認定の訓練を受けてなく、このような報道に接していれば、裁判員になる前から「被告人が有罪である」との偏見を持っている危険があります。

押尾学さんについても、マスコミを見ていると、「見殺しにした。」と既に保護責任者遺棄罪で有罪が決まっているかの報道でした。
裁判員がこのような報道に影響を受けるなら、弁護人がどのような弁護活動をしようが、判決は既に裁判が始まる前から決まっていると言えます。
しかし、昨日の判決は、「致死」との因果関係を認めない一部無罪の判決でした。
それは、裁判員が、マスコミの影響から離れ、理性的に判断した判決として、評価できると思います。

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