熊本の弁護士|交通事故,離婚の山崎法律事務所

刑事事件

緊急避難

覚醒剤の自己使用について、有罪とした横浜地裁の判決を破棄して無罪とした東京高裁の判決が、検察官の上告断念により確定するようです。
この東京高裁判決は、覚醒剤を自らの身体に注射するという行為(自己使用)を行ったことは認めた上で、その行為が緊急避難に該当するとして、違法性を有しないと評価して、無罪としたもののようです。

緊急避難というのは、次のようなことをいいます。
例えば、あなたが船が難破して海に投げ出された場面を考えてください。
そこに板切れが1枚流れてきたとします。
きっと、あなたはその1枚の板切れにしがみつくと思います。
そこへ、その難破船から投げ出された別に人が近づいてきました。
もちろんその人もその板切れにしがみついて助かりたいと思っています。
従って、その人もその板切れに近づいてきました。
その板切れが比較的大きなもので、2、3人がしがみついても沈みそうにないものであれば良いのですが、そんなに大きくなく、1人がしがみついて浮いているのがやっとの大きさのとき、あなたはどのような行動を取るでしょうか。
あなたは、自らがおぼれ死ぬ覚悟でその近づいてきた人に板切れを譲るかもしれません。
しかし、すべての方がそのような行為を行うことができるとは限りません。
自らが助かるために、近づいてきた人を払いのけ、結果的にその人をおぼれ死なせるかもしれません。
宗教的に、倫理的に、このような払いのけた行為を非難する方も少なくないかもしれません。
しかし、法律は、人に対して、そのような強い心までも要求していません。
その払いのけた行為について、自らの生命を救うために他に選択肢がないような状況であれば、緊急避難として、違法性がないと評価されます。

先程の事件は、拳銃を突きつけられ、自らの身体に覚醒剤を注射するか、突きつけられた拳銃に撃たれて死ぬかのいずれかを選ぶように強制された状況下の行為だそうです。
緊急避難と呼べる行為でしょう。
このような行為であっても、裁判では有罪になるのです。

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