刑事事件
報告義務
弁護士には報告義務があります。
ただし、これは依頼者に対してです。
弁護士と依頼者との関係は、法律的には委任関係になります。
委任においては、委任を受けた者(受任者)は委任者に対して報告する義務があります。
他方で、弁護士は、依頼者以外の者に対しては報告義務がない、というよりも報告してはならないといえます。
「家族に内緒で法律相談を受けます。」というのは、至極当たり前のことです。
つまり、弁護士は、相談者、依頼者に対して守秘義務を負っています。
この守秘義務は、相談や依頼の内容だけでなく、相談や以来の存在にまで及ぶと考えられています。
そして、家族といえども、守秘義務においては他人です。
相談を受けたり、依頼を受けたりということを、相談者や依頼者の承諾もないままで家族にさえ明かすことはできないはずです。
刑事弁護では、被告人という特殊な存在があります。
被告人との関係においても守秘義務があります。
刑事弁護では、ご家族が依頼者となることがあります。
そのようなとき、私は、被告人との関係で守秘義務があり、その限度で報告をすることができないことがあることを説明します。
国選弁護では、ご家族は依頼者ではありませんので、もちろんご家族に対する報告義務はないと思いますし、被告人の承諾もないのに報告をすることもありません。
ただ、この理屈はなかなかご理解いただけないこともあるようです。
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