離婚
金の生る木
「金の生る木」という言葉があります。
そういう名前の木もあるそうですが,ここでお話しするのは慣用句としての「金の生る木」です。
いくら使ってもなくならない財源のたとえだそうです。
「あなたは我が家の金の生る木よ」といわれたとき,どう思われるでしょう。
ドラマでは,暗い背景で,何か弱みを握られている人が言われているイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。
家の大黒柱として頼りにされていると誇らしく思う方もいらっしゃるかもしれません。
「あなたなんか我が家の貧乏神よ」といわれるよりもましと思われるかもしれません。
ATM代わりにしか思っていないと憤る方もいらっしゃるかもしれません。
メディアでは,卓球の福原愛さんが日本に戻ってきたのは台湾の自宅で姑さんに「あなたは我が家の金の生る木よ」と言われたからだそうです。
真偽はわかりませんが。
その発言が帰国を決断する原因になったのであれば,福原さんはその発言を嫌な発言として聞いたのでしょう。
他方で,台湾では,その発言は悪い意味はないという方もいらっしゃいました。
ここにモラルハラスメント(モラハラ)の難しさがあります。
DVであれば,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV法)に身体に対する不法な攻撃出会って生命又は身体に危害をくわえるもの又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動と定義されていますので,これに該当するかどうかを検討することになります。
しかし,モラハラにはそのような法律はありません。
モラハラの中心は発言です。
発言というものはとてもやっかいです。
発言は文化の影響を強く受けます。
方言で話しているとき,他の地域の人が聞くと喧嘩をしているように聞こえるという例は聞いたことがあるでしょうか。
土地柄というものもあります。
育ってきた環境により,また,TPOにより,発言に対する意味づけが異なることもあります。
例えば,「馬鹿」という発言も,侮辱的に使われるときと,愛情表現的に使われるときがあります。
言葉尻だけで,ハラスメントであると評価することは簡単ではないかなとは思います。
ところで,相手の発言などがモラハラと感じたときには,できるだけ早めに弁護士に相談された方がよいです。
そのときの対処を誤ると,離婚が難しくなることがあります。